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第1回/ゴシック家具について

第1回目目は家具の歴史についてお話したいと思います。

まずはゴシック家具から。
なぜゴシックからかと言いますと、ヨーロッパで初めて寺院や王侯貴族以外の人々の手に家具と呼べる物が 使われ始めたからです。当時は文明の中心はイスラムです。中世ヨーロッパは暗黒の時代です。十字軍の 遠征(1098年〜)で西ヨーロッパに建築を含め様々な文化が流入し大変化を遂げるのです。

【 1 】 ゴシック家具
中世後期の家具様式。中南部イタリアを除く西ヨーロッパ全域に波及しました。11世紀のロマネスク家具を 駆逐にし、14世紀のルネッサンス家具に影響を与えました。ロマネスク家具のスタイルに華美な装飾を施 した家具と理解しても差し支えない思います。
ゴシック家具の多くはカテドラル(大聖堂)の尖塔の設計からきています。ゴシック家具の装飾は細い稜線 (トレーサリー)が垂直線と花紋を構成する片蓋柱を特徴とします。
ギリシャから引き継ぐ、この垂直と水平のバランスの取れた造形はヨーロッパの家具の基本理念として受け 継がれています。また、トレーサリー(狭間飾り:ゴシック建築の窓などの分枝状飾り模様.)は尖ったアーチ になっていて(イスラム建築の影響)、現代建築に多大な影響を及ぼしています。
当時はホゾ組構造で釘は使っていますが一般的には接着剤は使われていません。 塗装は原色で上塗が施されていませんので剥げ落ち現在では残っていません。
ゴシック建築の事の始まりはパリ近郊の聖デニスカテドラル(大聖堂)の建築(1140-44)に始まります。 カテドラルの無い都市はヨーロッパではその地区の中心都市とは見なされません。
また、当時は商業資本が北イタリア及び北海沿岸に蓄積される時期で裕福な商人が貴族を上回るように なってきます。商業資本が発展しますとおのずと小さいながらも工業も伸びてき多くの家具が作られるように なります。相乗効果で中産階級も育ってきます。そうなりますと、今まで単純な家具が用途(部屋別)に合わ せた家具を人々が求めだします。そうしますと、そこに意匠等の専門化が育ってきます。様々な家具が作ら れるようになって来ました。
[ 椅子・テーブル ]
当時は3本足のスツールが主流で、食事のときは長テーブル(天板は荒削りの材木です)に架台と言われる 長ベンチに座っていました。3本足の1本を上に突き出し背もたれにする椅子が出てきます。
次に背と側足をパネルにしたものになり、背、側足に装飾が施され、前から見るとカテドラルの正面の姿に なります。4本足のテーブルは永く使われますが。オケイジョナルテーブルが現れます。
[ ベッド ]
天蓋付のベッドが現れ、金持ちのステイタスになります。
[ 箱物 ]
当時は箱物はサイドボードしかなく、扉を外しシェルフになり。高くしてカップボードになり。様々な種類が出てきます。

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